中北幸久、真珠のねうち
バロック真珠
真円ではなく、変形した歪な真珠のことであるが、その形状は真円に近いものから、動物や木の枝・ダルマやお握り・円盤形のもの等々、様々である。
近年このバロック真珠が見直され、非常に人気が高まっている。僅かではあるが、このバロック真珠を利用して、個性的なアクセサリーを拵えている業者がいる。思わず(なるほど)と頷いてしまう。今迄然して評価されなかった変形真珠を、芸術的な世界にまで高めて表現しているのであるが、その感性に驚かされる。しかしながらバロック真珠は、変形の度合いが大きければ大きいほど、欠点となるキズや腐りの部分が出来やすく、全面に亘って光沢のある真珠は稀である。それ故に高価ではあるが、その価値はある。
天然真珠
偶然に出来た自然の妙である。真珠業界では一般的にケシと言われているが、淡水真珠の場合、その多くが人為的に作られたケシと言ってもいい。感覚的に全て真珠層によって形成されているように思えるが、大きなものほど中心部分は空洞のものが多く、空洞になっている部分を充填物によって完全に処理しないと、表面の真珠層の光沢が損なわれることがある。
最近では南方系の大きなケシにも、人為的に養殖されたものがあり、然程珍しいものではないが、その中心に核が挿入されていないだけに、ほとんどのものがバロックである。ただその中には、不思議な光沢や色合いを醸し出すものがある。