指導者の方へ 1
目的

このサイトは中学生の英語学習を支援するために、三重大学教育学部附属教育実践総合センターの支援のもとに作成されたものです。特定のつづりパターンに注目した「つづりと発音学習」の推進を提唱しているサイトです。

つづりと発音の指導を重視する理由は次の通りです。
中学生が英語を学習する上で、大量の英単語を暗記しなければならない現実があります。かつてほどではありませんが、単語力=英語の実力と考える生徒・保護者もいまだに多いようです。ところが実際に単語をたくさん知っていれば英語の実力があるかと言うと、必ずしもそうではありません。しかし、認識できる(読める・聞いてわかる)単語が多ければ英語がわかりやすくなるのは確実でしょう。

ではどうやって単語は覚えたらいいのでしょう?ここがスタートでした。単語テストをして暗記させることは決して悪いわけではありません。しかしもっと大切なことは、その記憶をどこまで保持させてあげられるか、ということです。単語を覚えるとはどういうことなのでしょうか。

すでに日本語を身につけた生徒に英語を教えることを考えたとき、私たちは大変大きな間違いを繰り返しがちです。
それは「漢字を覚えたときと同じように単語を覚える」のが普通だと思ってしまう間違いです。例えば「とり」という音から「鳥」という漢字を想像だけで書くことはできません。漢字を知っているから書けるのです。その漢字を私たちは何度も書いて覚えたのです。何度も書く理由は、書いて形を覚えるしかなかったからです。でも英単語は性格がまったくちがいます。英単語は日本語で言うなら「ひらがな80% 漢字20%」的な存在です。発音とつづりはつながっています。

1.単語は音で認識されることが基本
2.つづりを知らない単語でも発音できることは多い

3.発音を知らないけどつづりなら知っているという単語はほとんどない

「ツル(鶴)」を英語で何と言うか、生徒に尋ねてみてください。ほとんどの生徒は知らないはずです。ところが、「工事現場にツルみたいなカッコの機械があるよ」とか言ってヒントを出してあげるとクレーンという名前はほどなく出てくるでしょう。この時点で大部分の生徒にはツルはクレーン(逆のイメージのほうが強いかもしれませんが)と言うことが記憶されるでしょう。そこでそのつづりを想像して書かせてみると、今までいかに丸暗記だけの世界で指導してきたかが見えてきます。craneという正解を早い段階で書ける生徒はごく少数ではないでしょうか?

ところがつづりと発音の学習を適切に受けてきた生徒はかなり早い段階で答えにたどりつけるようになります。この問題の場合であれば、迷うのはLかRのどちらだろう?ということが中心になるはずです。それはでたらめに得たつづりではなく、学習に裏付けられたつづりのため、時間が過ぎてからでも「クレーン(クレイン)」という音さえ覚えていれば書くことも可能になります。

このようにつづりと発音の関係を授業の中に取り入れてみてください。指導者向けの導入の手順をこの先に紹介します。