母音ベースの基本的発音パターンの指導
当サイトの「その他の綴り」のページで紹介しているパターンは中学校におけるつづりと発音指導でE-ruleと同等の指導意義のあるものです。すべてを覚えさせようとするのではなく、そのパターンに当てはまる単語を見るたびに一言添えるというのが適切な指導となるでしょう。
ただし、注意すべき点があります。当然のことではあるのですが、指導者には指導内容に生徒が身につける以上の背景知識が必要です。それは単なるパターンの知識とともに、そのパターンがあてはまる単語にはどのようなものがあるのかを示す能力を磨くことでもあります。ひとつの単語を見て理解するよりも、「他にこんな単語もある」ということを知っている単語で示されたとき、生徒の印象に刻まれる度合いは強くなるものです。以下に指導者に求められる背景知識を紹介しておきます。
@生徒が意識すべきレベル | ou owは「アゥ」と発音されることが多い |
単語例 | about cloud ground house mountain mouth |
指導者が意識すべきレベル | アルファベットの u と w は母音として発音される場合であれば「音」そのものは同じであることが多い。これは o「オゥ」との組み合わせだけに限ったことではなく、ew eu などにも見ることができる。 ou ow は「オゥ」と発音されることもあり、生徒が混乱する原因でもあるが、「アゥ」が基本。 「オゥ」と発音されるときは直前に l または r があることが多い。slow grow などがあてはまる。語尾であることも多い。このようにl rに続く場合のみ特定発音パターンとしてewがある。下の発音を比べるとわかりやすい。 few new stew[ユー] flew grew[ウー] |
A生徒が意識すべきレベル | ee ea は「イー」と発音されることが多い |
単語例 | between feel green keep meet need street |
指導者が意識すべきレベル | ee は例外なしに「イー」と発音する。それに対してea は他の発音パターンを持っている。great headがその例。しかし「イー」が基本。 |
B生徒が意識すべきレベル | oo は「ウー」と発音されることが多い |
単語例 | soon too school room noon cool food |
指導者が意識すべきレベル | 他の発音パターンとしては以下のようなものがあることを知っておくといい。 foot book[ウ] door floor[オー] |
C生徒が意識すべきレベル | ai ay は「エィ」と発音されることが多い |
単語例 | rain wait again train Spain plain chain |
指導者が意識すべきレベル | ou ow のときのu/w の関係と同様に、母音としての発音上はi とy は同じ扱いである。 ayは圧倒的に語尾であることが多いのは英語学習者であれば直感的に感じるものであり、理解しやすいはずのパターンである。 |
D生徒が意識すべきレベル | au al or は「オー」と発音されることが多い |
単語例 | because daughter August all call small |
指導者が意識すべきレベル | 発音が「オー」なのか「オゥ」なのか、大変面倒な現実がある。まず「オー」の代表としてこの3つのパターンを基本として指導するのが望ましい。 auはautomaticとか、自動ドアのAUTOという言葉でおなじみのパターンなので、それらを想起させると理解しやすいような感触を感じている。orは少数だがつづりと発音が結びつきやすい。au alを意識的に指導することが大切である。alは日常的に出会う単語に多いので指導者は指導の機会を大切にすべきである。 |